2008-01-01から1年間の記事一覧

94.『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』

コレ、建前としてはドキュメンタリーという事になっていますが、もちろんスコセッシの映画でそんな筈がありません。この映画よりは『ワン・プラス・ワン』のストーンズの方がよっぽどドキュメンタリーです。 しかし、こんな贅沢なライブ撮影もありません。な…

86.『俺たちに明日はないッス』 ユーロスペース

主人公の青年は「オレはオナニーなら一日に13回出来るだぜ」と自慢します。それを聞いた女友達は「あんたってホントに救いようのないバカだね」とため息まじりに語りますが、その距離感は多分そのまんま男と女の距離感です。男の性欲と女の食欲はどちらも…

80.『僕らのミライへ逆回転』 シネマライズ

この映画を観て真っ先に思い出したのは知り合いのディレクターの事。彼とは専門学校の時以来の友人ですが、彼が高校生だったか中学生の時だったかに撮った8ミリ映画が、この映画でも登場する『ゴーストバスターズ』のリメイクなんですね。学生服を着た彼が…

79.『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』 ユーロスペース

この所映画を観ていて寝る事が多いのに、コレは寝ませんでした。 と、言ってもとりわけ物語が面白い訳ではありません。何か特別な事が起きる訳でもありまへん。シングル・マザーがいて、息子がいて、そのベビー・シッターがいて・・・といった「日常」が淡々…

78.『ダーク・ナイト』 渋谷シネパレス

またまた相当寝ていましたが、なかなか立派な作品だと思いますよ。ビジュアルはもちろん相当なクオリティ−ですが、感心したのは脚本。今のアメリカの現実を取り込みつつ、しっかりとした骨太なエンターテイメントに仕上げている。クリストファー・ノーランっ…

77.『イントゥ・ザ・ワイルド』 テアトルタイムズスクウェア

「若さ」というものが「彷徨う」という事と同じ意味だとするならば、この主人公はまさに「彷徨」の象徴でしょう。彼は何かを得ようとした訳でもないし、実際に様々なものを失ってゆく。そして最後には若くして自分の命さえ失ってしまう。けれども、どんな人…

76.『グーグーだって猫である』 バウスシアター 

同名の原作をベースに、様々な大島ワールドを取り込んで展開させたオリジナル映画、という感じ。でも脚本は割と良く出来ていると思う。大島ファンなら、あのエピソードはあの短編から、みたいな隠し味も楽しめる。確かに『8月に生まれた子供』とか大島弓子…

73.『言えない秘密』新宿武蔵野館

台湾の原田知世(昔のね)ことグイ・ルンメイが出ている!というだけで観に行った映画なのですが、なかなかトンデモ映画です。なにしろ、この映画の主演をやっているジェイ・チュウの初監督作品だそうです。僕は全然知らなかったのですが、この人マルチアー…

72.『トワイライトシンドローム デッドゴーランド』 シアターN

一番映画を感じたのは、主人公の女の子が、ボーガンを持ってジェットコースターの線路に立っているあの引き画。なんだかあそこはフレーム・インの仕方といい、サイズといい、非常に「ショット」を感じたなー。その後、女の子の正面にカメラがまわって、背景…

68.『TOKYO!』 シネマライズ

一本目:ああー、自主映画やってた時に上映会やったなー・・・あの時に彼女に受付嬢やってもらったなー、とか思い出しました。 二本目:ドニ・ラヴァン禿げたなー。おいおいその渋谷の歩道橋、オレも自主映画でゲリラ撮影したよ!とか思い出しました。 三本…

65.『百万円と苦虫女』 バウスシアター

蒼井優の脇の下が観れます! っていうフェチな楽しみ方はともかく、この映画をけなすのはいくらでも出来ると思うんですね。特にこの映画の後半の部分は、ちょっと脚本が見え過ぎてしまった感じがして好みが別れる所かも。でも、ありきたりな話をありきたりに…

56.『パリ、恋人たちの2日間』 恵比寿ガーデンシネマ

カノジョがいるとします。その女の子が昔どんな男と付き合ってたか、そういう事って気になりませんか?僕は気になる・・・良い歳して、表面的には気にしてないフリしてても、本当は聞きたくて仕方がないのが男のホンネ。ほんと男ってケチで詰らない生き物な…

54.『ぐるりのこと』 シネマライズ

しみじみ良い映画。もちろんコレはただの映画であって、キレイごとだよ、と笑い飛ばしたくなるシーンもたくさんある。でもそういうシーンでさえ「映画」な所が愛おしい。 リリー・フランキー、木村多江、この2人を主役にした時点で、橋口監督には相当な覚悟…

53.『イースタン・プロミス』 シャンテシネ

俳優という商売が「身体の表現者」だとしたら、ヴィゴ・モーテンセンほどその言葉が当てはまる人もいないですね。なにしろ全裸格闘シーンですよ、お嬢さん!身体も凄いが股間が気になります。もっとハッキリと観てみたい様な、観てみたくない様な・・ まあ冗…

(再)『やさしくキスをして』 WOWOW録画

最近新作を観ても気がめいる事が多いが、こういう映画を観直すと本当に救われる。 出だし5分、主人公の妹が学校でイギリス育ちのパキスタン人である事を誇らし気に語るシーン。そこからして、もうケン・ローチのリズムだ。妹を迎えにきた主人公の兄が、喧嘩…

42.『黒い潮』 WOWOW

『東京物語』などの出演で日本映画史に残る名優、山村聰の監督作品。彼はこの映画を含めて6本程の映画を監督している筈だが、監督作品を観るのは初めて。ナレーション等の表現が外している部分もあるが、全体的に見ると良く出来た映画だと思う。的確な演出力…

41.『フィクサー』 みゆき座

冒頭の方で製薬会社の専属弁護士であるティルダ・スウィントンが、鏡に向って話しているシーンがある。彼女は会社の運命を握る説明会のプレゼンテーションに向けて、レジュメを暗記している。彼女の脇の下には汗が滲んでいて、その体臭さえ臭ってきそうだ。…

35.『昭和残侠伝 死んでもらいます』 国立フィルムセンター

S君にばったり出会う。やはりフィルムセンターって、そういう所が楽しい。 映画自体はまあ「健さん」モノって感じだ。高倉健って決して巧い役者だとは思わないが、その肉体、存在感は間違いなく映画の人・・そこが凄い。作品性そのものから言ったらもっと面…

33.『CONTROL コントロール』 シネマライズ

すいません!前にも書いたと思いますが僕はロック音痴です。青年期にジャズとか聴いていたスカした奴だったので、青春の必需品ロック魂が欠如しています。それでもこの映画を観た後、劇場ですかさずサントラを購入したのだから、この映画は良く出来ているの…

32.『ノーカントリー』 シネマメディアージュお台場

僕は映画というモノを感覚的なモノだと捉えているのだけれど、世の中には映画を「科学」だと考えている人もいる。例えばキューブリックがまさしくそういう人だ。そしてこのコーエン兄弟もまた映画を科学的に捉えている監督だと思う。彼等の手にかかると映画…

30.『接吻』 ユーロスペース

少し的外れかもしれないが、この映画を観て思い出したのは『タクシードライバー』だ。この映画はサスペンスでもあり、恋愛映画でもあり、そして何よりも人間の孤独についての映画だ。だから孤独についての映画『タクシードライバー』に通じるものがあるのも…

29.『4ヶ月、3週間と2日』 銀座テアトルシネマ

去年のパルムドール受賞作品。クールでドライな演出は見事。 画面の一部が必ず欠けている様なアンバランスな画作りは、「見えない」事によって、より恐怖心と探究心を刺激する。そうした緊迫感はドラマ全体をサスペンスに昇華させている。だが、今ひとつこの…

26.『ペルセポリス』 バウスシアター

バウスシアターでは月曜日には男性は1,000円で映画が観れます。いや、別にバウスシアターの回し者ではありませんが、いつも御世話になってます^^ という訳であまり乗り気がしなかったのですが、観てきました。というのも最近アニメが詰らないなー、ってず…

(再)『イゴールの約束』 WOWOW録画

ほぼ10年ぶりくらいに観直したが、そのシンプルさ、巧みさに今更ながら打たれた。 この映画はダルデンヌ兄弟の作品に共通して描かれる「贖罪」がメインテーマだが、単にそこに留まらない広がりを持っている。この映画で描かれる「国境」「愛情」「宗教」の…

24.『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』

正直、ドキュメンタリーとしてはイマイチだけど、最近趣味で写真をやっている事もあって、観に行きました。 でも一人の芸術家の人生としてはなかなか面白いと思う。なにしろこの映画を観て初めて知ったのだが、アニー・リーボヴィッツってあのスーザン・ソン…

20.『かつて、ノルマンディーで』 銀座テアトルシネマ

豚の誕生シーンから始まるこの映画は、「生」と「死」についての映画だ、といってもあながち間違いではないだろう。 ニコラ・フィリベールはかつて自分がスタッフとして関わった映画『私、ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』のキャスト達を訪ね…

14.『行け!ラペビー』 銀座テアトルシネマ

『動物、動物たち』を観に行って併映だったので、何の予備知識もなく観たのだが、何と自転車選手のドキュメンタリーだったので嬉しくなってしまった。第31回ツール・ド・フランス個人総合優勝のロジェ・ラペビーの晩年についての短編。日本公開が88年だそう…

11.『アメリカン・ギャングスター』 吉祥寺東亜興行

映画の登場人物達は「役割」を生きている。「善玉」と「悪玉」、「男」と「女」という具合にお互いがお互いを補完し、必要とされる「鏡」として存在している。 この映画の場合もそれは同じなのだが、この主人公2人の在り方が現代的だな、と感じるのはその役…

8.『人のセックスを笑うな』 シネセゾン渋谷

皆「人のセックス」については知りたい様で満員。だがこの映画にはセックスシーンはない。「事前」と「事後」しか描かれない。それはそれで潔いと思う。 でも期待していたよりは面白くない。長すぎる。そう感じるのはやはりワンシーン、ワンシーンにそれだけ…

7.『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

「血」と「刃物」はティム・バートンの世界の必需品だ。彼の世界では、血は水筒の水よりも重要で、刃物は闇夜を照らす懐中電灯の様なモノだ。その二つの神器を持たぬ者はティム・バートンの世界を渡り歩く資格はない。だからこそ大量の血も、刃物を使った殺…