105.『ALWAYS 三丁目の夕日』 吉祥寺

技術的な事を言えば文句の付けようがないくらい良く出来ている。
だが、この映画はそのVFXが象徴している様に全てが絵空事なのだ。
もちろん映画は元々が絵空事だ。それは充分承知している。
全てのフィクションは「真っ赤な嘘」で真実を表現する事だ。
それは或る意味お約束で、人間社会の常識とでも言うべきものだ。
それは「お金」や「政治」と同じ位、互いの信頼関係の上に成り立って
いる非常に危うく、危ういが故に必要な物だ。
だからこそ僕は本当の意味で必要なフィクションを求めている。
これは非常に個人的な感想なのかもしれないが、僕はこういう
安っぽい「嘘」が嫌いなのだ。
こんな物語は今までにいくらでもあったし、もういいだろうと思う。
こういうのが御得意な大家がいるじゃないですか。
それを若手監督の代表である山崎貴がやっている事が残念だと思う。
この映画が本当に伝えたい事は何なのだろうか?
郷愁?涙?それだけの為にこれだけ壮大な嘘をついても
そこにはキレイに何も残らない。
そんなフィクションは現実からの逃避でしかない。
もちろん映画にはそういう効果があるのも事実だし、
そういう映画だからこそ目くじら立てる事ではないかもしれない。
だが、多分日本人はこういう物語が好きなのだろう。
それだけは事実だろう。