2014年個人的映画ベスト
一年ぶりの更新です。結局毎年のベストしか書いてないですね。別に順位は付けてなくて、観た順番でもう一度観たい映画を選んであります。今年観た映画は113本くらいですが、その中で新作は60本くらいしか観ていません。今年は仕事の関係もあって、旧作を観る事が多かったのです。来年もまた良い映画に出会えたら嬉しいです。
■『ニシノユキヒコの恋と冒険』
女優陣への演出が良いですね
■『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
スコセッシ+デュカプリオのコンビでやっと面白くなってきた
■『アデル、ブルーは熱い色』
これを詰らない!という人がいるのもよく分かります^^;
■『祖谷物語ーおくのひとー』
蔦監督にはすごく期待しています
■『プロミスト・ランド』
ガス・ヴァン・サントの映画であると同時にプロデューサー&主演のマット・デイモンの映画
■『ジャージー・ボーイズ』
もう何も言う事はありません(笑)
■『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』
力抜けてますが、ベテランの技を感じました
■『拳銃と目玉焼』
ある意味自主映画の勝利です
■『6才のボクが大人になるまで。』
奇跡の映画ですが、気負っていません。そこがまた良い
■『日々ロック』
全体漫画調ですが、結構好きですよ
■『インターステラー』
圧倒的な物量感…というかモノとしての映画を撮りたいんだろうな、ノーランは
■『超能力研究部の3人』
秋本康+山下敦弘の企画力の勝利ですかね…
■『百円の恋』
荒削りだけど熱くて素晴らしいです
2013年個人的ベスト
もうほとんど放置プレイが続いているこのブログですが、毎年のベストだけはあげておこうかと・・旧作含めて約80本ほど観ましたが、「もう一回観たい」という基準で選んであります。別に順位はつけませんが、既に二回観た映画も何本かあります。
■『人生の特等席』
イーストウッドが演出していませんが、立派にイーストウッドの映画でした。
■『ふがいない僕は空を見た』
僕はこの映画結構好きです。
■『愛、アムール』
怖いくらい手厳しい演出です
■『君と歩く世界』
あまり評判になりませんでしたが、良い映画だと思います。
■『グッバイ・ファーストラブ』
もう可愛い女の子の成長を描くだけで映画になる、という良い例。
■『舟を編む』
原作の力もあるでのでしょうが、丁寧で的確な演出。
■『旅立ちの島唄 ~十五の春~』
これまた可愛い女の子映画ですが、これは丁寧なプロデュースを感じました。
■『風立ちぬ』
宮崎駿自身の矛盾に満ちた映画ですが、それがまた面白過ぎる。でも良い映画か?というと・・
■『パシフィック・リム』
何のかんので2Dと3D両方観ました。
■『ジンジャーの朝』
エル・ファニング恐るべし
■『ムード・インディゴ うたたかの日々』
これまたあまり話題になりませんでしたが、良い映画です。
■『危険なプロット』
もうフランソワ・オゾンの本領発揮って感じでした。
■『もう1人の息子』
似た様な映画が確かありましたが、僕はこちらの方が好きです。
■『パッション』
デ・パルマはやっぱりこうじゃなくっちゃ!
■『3人のアンヌ』
ホン・サンスのフットワークの軽さにはビックリです
■『バイロケーション』
安里麻里の最高傑作でしょう
■『パリ、ただよう花』
『スプリング・フィーバー』も観たいです。
■『ゼロ・グラビティ』
今年最後にガツンとやられました。
その他旧作では『先生を流産させる会』『預言者』『人間蒸発』『華岡青洲の妻』など良かったです。来年も良い映画に出会いたいです。
27.『ファミリー・ツリー』 WOWOW録画
この映画の前後に『W座からの招待状』という枠番組がついていて、安西水丸と小山薫堂が対談をしている。(僕はこの番組が結構好きです)その中で小山薫堂が言っていたのだが、この映画の成功は多分にハワイというロケーションにある、と言っていたが、僕も本当にそう思う。実は結構シビアな話だし、これを仮にニューヨークや東京での話にしてしまったらもうドロドロしすぎちゃって観れないだろう。何しろお母さんが事故で意識不明になっていて、そのお母さんは本当は浮気していた事が判る。しかもそれと同時進行で不動産の売買をめぐるイザコザがあって・・・というストーリーを聞いただけでもうんざりしてくるでしょ?
でもそんな話もなぜかそこはかとないユーモアに満ちている。多分それはハワイというロケーションもあるが、やはりジョージ・クルーニーに由る所が大きい。『マイレージ・マイライフ』の時にも書いたが、この人は本当に三枚目の役が上手だし、進んでそういった役を引受けている。どんなに格好よい役者でも、三枚目の役をやるのは難しいし、勇気がいる。でも自分以外の誰かを演ずるのが役者なら、こういう立ち位置を演じる事が出来てこそ本物の役者って感じがする。
25.『先生を流産させる会』 WOWOW録画
ダメな所を言い出したらキリがないし、拙い部分はたくさんあるが、やはりコレは才能を感じた1本。
これは実際にあった事件からインスピレーションを得た映画だそうで、事件を起こした犯人像は男から女になっている。そこも面白いと思った。まだ女になりきっていない少女たち。そして成人した時の自分の鏡としての女教師。その女教師は妊娠している。まだ生理も始まっていない様な女子生徒達は、教師の姿が恐ろしくも疎ましい。その事がかつて少女だった女教師にも判っている。その互いの軋轢の中で物語が進行してゆく。
ワンカットワンカット綿密に考えられた演出。キャラクターを理解した脚本。まだまだ荒削りだが、これから期待を感じさせる作品だった。
24.『預言者』 早稲田松竹
今日までと知って慌てて早稲田松竹へ。学生時代からホントにココにはお世話になっています(笑)
ジャック・オディアールは『リード・マイ・リップス』が好きで、何度も観ているが、今公開している『君と歩く世界』も良い映画。とはいえ、あれはマリオン・コティアールのラブ・ストーリーみたいな売り方をしているが、そんな単純な話じゃないし、オディアールの感心はそこにはないと思う。じゃあドコにあるの?という事だが、この人は「肉体」にこそ感心があるのだと思う。
刑務所に入った青年が、刑務所内のドンに目をつけられる。刑務所内ではその男が実質権力を握っていて、相当好き勝手やっている。出来ないのは刑務所の出入りくらい。で、彼の命令に逆らう事が出来ずに青年は、刑務所内のある受刑者を殺す事になるのだが・・という話の導入だが、この殺すシーンが本当に怖い!心臓弱い人には絶対にオススメ出来ない。でもその「痛み」とか「匂い」とかが、こびりつく様に記憶に残る。手触り感というか、ヌメヌメした感じが今でも残っていて、そこがこの人の映画の魅力にもなっている。
考えてみれば『君と歩く世界』ではマリオン・コティアールは事故で足を失う。そのパートナーは格闘技で常に怪我をしている。『リード・マイ・リップス』でエマニュエル・ドゥヴォスの耳が聞こえない。その全てが「肉体」の一部を欠如したり、怪我をしたり、という設定だ。その痛みや欠如が物語を前に進めてゆく。そしてそのアナログな感覚こそが、多くの今の映画に欠如している瞬間だと思う。
20.『天使の分け前』 テアトル銀座
ケン・ローチの新作。非常に手軽に撮っている様に見えるが、やはり彼の感心は「社会問題」だと思う。
主人公の青年達は、社会の状況によって最下層の生活を送っている。その生活から抜け出したいと思っているし、最終的に抜け出す事に成功するのだが、その為に彼等が選んだのは犯罪だ。彼等の罪はこの先問われる事になるのか?それは語られる事なく、矛盾を抱えたままこの物語は終る。主人公の青年は妻と子供と共に新たな道を歩んでゆくが、彼の友人たちは結局元の生活に戻る事が暗示される。ケン・ローチとしては、このラストで観客に疑問を投げかけた形で終らせたかったのだろう。だが、もしこの映画がダルデンヌ兄弟が撮ったとしたなら・・その後の彼等の姿を描くかもしれない。
テアトル銀座も最終上映。映画館が無くなってゆくのは、やはり寂しい。