『キングコング』他

IMAO2005-12-18


人のススメもあってレンタルして観る。
つまらなくはないのだが、前半アラが目立ったかな。
特に主人公の行動原理がイマイチ分らない。


キングコング』をリメイクする、という事は映画史に関わる事だ。
だから大抵の監督はそんな恐れ多い事はしない。
だがピーター・ジャクソンはそれをやってのけた。
しかも傑作として!
おまけにダイエットまで成功してるし、どうなってるの???
(以下ネタバレ多少ありなので、ご興味ある方は)


この映画、結構前評判が悪い。
一番良く聞くのが「長い」というのだったので、
寝るの覚悟で行ったのだが、どこが長いんじゃ!
寝とるヒマなどありゃしない。
面白すぎて久しぶりに上映中に時計見なかったです。


良い所ばかりなのだが、一番関心したのは、ナオミ・ワッツ
演ずる女主人公とコングの心の交流の描き方だ。
僕が一番最初に観た洋画がジョン・ギラーミン版『キング・コング
だったという話は前にも書いたが、あの作品にしても、
そしてオリジナルにしても、あまりコングそのものの感情を巧く描け
ていなかった様な気がします。ま、最近観直していないから、
そこいら曖昧なんですが、本来のオリジナルのテーマが
「文明×自然」みたいな所だったので、それも仕方なかった訳です。
だから今までの作品では、コングという触媒を通じて、人間同士の
愛情が深まり合う、みたいな構造になっていたと思う。


でも今回は、ちゃんとコングの「感情」を描けていたと思う。
というか、ピーター・ジャクソンはそこにこそ興味があったのだろう。
コングを動物としてではなく、「人間」として描いている。
だから、どうしても最後の方では多少矛盾が出て来てしまう。
特にあの有名な台詞「美女がコングを殺した」とかはとって付けた
様な感じになってしまうのだ。が、そんな事はどうでも良い、って
感じになってしまう位、ラブストーリー+アクション映画に徹している。


脚本的な仕掛けも上手だが、凄いのはコングの表情!動き!
あれはモーション・キャプチャーで俳優の顔をベースに作られた
CGなのだそうだが、それにしてもリアルでビックリ。
映画を観ていると時々「顔」とか「表情」とかに感動する事が
あるのだが、まさかCGの「顔」に感動させられるとは思わなかった!
あの位のレベルになると、モーキャプ使ってるからリアルとか
そういう次元を越えてます。やはり技術は使える人が使うと
ひと味もふた味も違ってくる。
特にラストの方、エンパイヤーステートビルの上で最初に銃弾を
浴びた時のコングの少し戸惑った表情とか最高でした。
あの時、今まで無敵だったコングが「オレ、もうひょっとしたら
ダメかも?」と思う瞬間なのだ。もうここまでくるとパントマイム
の世界!
ナオミ・ワッツもただ逃げ回るだけじゃない、体当たりな演技!
今回はボードビルの役者さんの役なので、それこそ感情を身体で
表現しなければならない。それをやってのけるあっちの役者さん
の芸の深さを感じたなー。あれと同じ事を出来る女優が日本にいる
のか??
ジャック・ブラックも大好きなので、文句の付けようがないが、
ピーター・ジャクソンはあの『スクール・オブ・ロック』を自分の
子供達と20回は観て、彼に出演のオファーをしたそうな。


それにしても『宇宙戦争』といい、この『キングコング』といい
どちらも大変面白くて個人的には凄く好きなのだが、どちらも
名作のリメイク。なんかちょっと複雑な思いであります。