29.『21g』 レンタルDVD

IMAO2006-04-15

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』が
あまりにも気に入ったので、
脚本家繋がりで観てみました。
この脚本家ギジェルモ・アリアガは、この他にも
アモーレス・ペロス』を書いているそうで、
あの映画もこの映画もスタイルが似ています。
時制の崩した構成とか、テーマが「生と死」についてだったりと。


公開時も気になっていたのに、観逃していたのですが、
何しろショーン・ペンナオミ・ワッツ、シャルロット・ゲーンズブール、
とまあ豪華な顔ぶれであります。
演出も手堅いし、役者も巧いのでDVDで観ても全然眠気
を誘われなかったし、並の映画ではないのは判るだが
もうちょっと一癖欲しいと思ってしまうのは贅沢ですか??


トリュフォー繋がりで申し訳ないが、彼がどこかで
がこんな事を言っていたのを思い出す。
「映画は脚本を裏切る形で撮影され、撮影を裏切る形で編集される」
要するに書かれた事をそのまま映像化するのだったら、それは
まだ多分「映画」としては不十分なのだ。
文章でも表現出来る事をするのなら小説や論文を書けば良い。
多分、脚本という「言葉」を越える(裏切る)瞬間が撮影時にあってこそ
映画的な瞬間、という物が表出してくのだろう。


『21g』は非常に良く出来ているのは確かなんだけれども、
どうしても「話が面白かった」とか「構成が面白かった」
「役者が巧かった」で終ってしまう気がする。
もちろん良い映画にとって、それは大前提として非常に大切な事
なんだけれど、それはなにも映画じゃなくても表現出来る事では?
っていう気になってしまう。


要するに何が言いたいかというと、同じ脚本家の書いた作品でも
『メルキアデス〜』はそういう部分が確実にあって、つまり話とか
もうどうでも良いのに面白い部分、その面白さは映画でしか
味わえない正に文章では表現出来ない部分・・・
そういう部分が一番ビビットで、やっぱりどんな映画にも
「演出」というのは存在していて、本当の才能というのは非常に
少ないんだなー、という事なんですけど。
って、全然『21g』の感想ではないですな・・・・


しかし、この『21g』は心臓移植がキーになる話なのですが、
そういえばイーストウッドの『ブラッドワーク』とかも
そういうお話だったし、心臓移植ってアメリカではかなり
ポピュラーな手術なんですかね。少なくとも脚本のネタに
なる程度にはって事ですけれど。

あと、ナオミ・ワッツってプロフィールを調べたら68年生まれですね。
68年生まれって事は・・・
それで、『マルホランド・ドライブ』の時にはあんなにエッチで
キング・コング』ではあんなに走り回って飛び回ったりしてて、
でもキレイ・・って
あちらの女優さんの底力には参ります。