54.『間宮兄弟』 恵比寿ガーデンシネマ

IMAO2006-05-31

コレ面白いですね。
森田芳光の映画って全部観ている訳でもないし、
熱心なファンと言う訳でもないのだけれど、それでも
『それから』は大好きだし、その『それから』を
観たのはもう20年近くも前の事なのだ。


で、森田芳光も何のかんのでもう56歳なのだが、
この映画を観ると、どうしてどうして非常に「若い」。
僕なんかよりもずっとセンスも感性も若者なのだ。
この映画をデビュー間もない新人監督が撮った映画、
と言っても誰も疑わない様な瑞々しさに溢れている。
そう、この映画はある意味、森田の劇場デビュー作
『の・ようなもの』の進化版だと見て良いだろう。


だが、この映画がただセンスの良い映画かと言うと
そんな事はなくて、そこはベテランならではの技が見てとれる。
漫画の様なオーバーな演技、限定されたフレーム作り、
物語の波の付け方・・・・等々
そうしたモノは全て森田芳光の計算し尽くされた「演出」に
よって制御されている。そうでなければこの手の映画は
それこそただの漫画になってしまうからだ。
(それにしても高島政宏の芝居とか、やってくれます)
だから、この映画は設定からしてある種のファンタジー
なのだが、妙なリアリティーにも満ちている。


映画の中で間宮兄弟と友だちになる姉妹がこんな事を言う。
「アタシ達もこんな風に散歩出来るのもいつまでか判らないよ」
「そんな事ないよ。だって間宮兄弟を見てごらんよ。
いまだに一緒に遊んでるじゃん」

という事は間宮兄弟の様な人達は実在するのか?
監督の森田芳光は「実在する」と言い切っている。
そうなのだ、僕もいると思う。
何しろ良い年して独身で、今でも週に1度か2度は映画の
話で長電話をする様な友だちが僕にもいたりするのだから・・・
それはある意味兄弟の様なモノだ。