54.『間宮兄弟』 恵比寿ガーデンシネマ
コレ面白いですね。
森田芳光の映画って全部観ている訳でもないし、
熱心なファンと言う訳でもないのだけれど、それでも
『それから』は大好きだし、その『それから』を
観たのはもう20年近くも前の事なのだ。
で、森田芳光も何のかんのでもう56歳なのだが、
この映画を観ると、どうしてどうして非常に「若い」。
僕なんかよりもずっとセンスも感性も若者なのだ。
この映画をデビュー間もない新人監督が撮った映画、
と言っても誰も疑わない様な瑞々しさに溢れている。
そう、この映画はある意味、森田の劇場デビュー作
『の・ようなもの』の進化版だと見て良いだろう。
だが、この映画がただセンスの良い映画かと言うと
そんな事はなくて、そこはベテランならではの技が見てとれる。
漫画の様なオーバーな演技、限定されたフレーム作り、
物語の波の付け方・・・・等々
そうしたモノは全て森田芳光の計算し尽くされた「演出」に
よって制御されている。そうでなければこの手の映画は
それこそただの漫画になってしまうからだ。
(それにしても高島政宏の芝居とか、やってくれます)
だから、この映画は設定からしてある種のファンタジー
なのだが、妙なリアリティーにも満ちている。
映画の中で間宮兄弟と友だちになる姉妹がこんな事を言う。
「アタシ達もこんな風に散歩出来るのもいつまでか判らないよ」
「そんな事ないよ。だって間宮兄弟を見てごらんよ。
いまだに一緒に遊んでるじゃん」
という事は間宮兄弟の様な人達は実在するのか?
監督の森田芳光は「実在する」と言い切っている。
そうなのだ、僕もいると思う。
何しろ良い年して独身で、今でも週に1度か2度は映画の
話で長電話をする様な友だちが僕にもいたりするのだから・・・
それはある意味兄弟の様なモノだ。