101.『親切なクムジャさん』 T-JOY大泉

オールド・ボーイ』のパク・チャヌクの新作。
復讐者に憐れみを』と併せて、「復讐三部作」となるそうな・・・・


この人にとって「復讐」はテーマなのだろうが、
その語り口には多少辟易してしまう。
徹底的に残酷なシチュエーションの中で、
登場人物たちがどう行動するのか?というのが、
この人の脚本の基本だが、どうにも物語に登場人物達を無理くり
当てはめている感じがする。
要するに話を面白くしすぎようとして、
キャラクターが生きてこなくなってしまうのだ。
だから、登場人物達の行動にも無理があるし、
彼等に共感する事も出来ないし、
更には映画そのモノにも共感出来ないのだ。
特にこの作品の後半ではそういった印象が強かった。
非常に丁寧な映画作りをしているのもわかるし、
時々ハッとさせられる部分も多いのだが、
いかんせんテーマと語り口にノレない作品だった。


余談だが、帰り際にサイフを落としたのに気付いて
席に戻ろうとしたら、若いカップルの彼氏の方が
拾っていて渡してくれた。
お礼を言って去ろうとした所、カップルの彼女が彼氏に向って
「親切な○○君!(彼氏の名前)」等と言っていたが聞こえた。
いや、まあカップル向けの映画ではないのは確かだな。
こんな冗談でも言わんと、やりきれん。
・・・・でも、まあ幸せそうだから良いか!?