9.『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』 BAUSシアター

IMAO2006-02-07

最初に断っておきますが、僕はフォークもロックも
ろくに知らない不届き者であります。
ボブ・ディランのアルバムも持ってはいない。
でも大好きなスコセッシの映画なので
見逃す訳にはいかない。


僕が思うに、マーティン・スコセッシが好んで描くテーマが
いくつかあって、「映画」、「宗教」、そして「音楽」だ。
意外と知られていないけれど、彼は『ラスト・ワルツ』や
ブルース・ムービー・プロジェクト』という音楽ドキュメンタリー
を監督、プロデュースしていたりするから、音楽物は彼のライフワーク
の一環だと考えて間違いないだろう。
その他『ミーン・ストリート』や『アリスの恋』も非常に音楽
を意識した映画だったし、マイケル・ジャクソンのPVの演出等
もしていたりする、ある意味音楽マニアの監督だ。
そうした流れの中で、スコセッシ自身が最大のリスペクトを送る
ボブ・ディランについてのドキュメンタリーを撮った訳だ。


ボブ・ディランに限らずそうなのだろうが、天才クリエーターって
やはり「理屈」で生きてないな、っていうのは良く判った。
ディランの中で音楽は自然であり、必然なのだ。
彼は多分やりたい事をやっていただけで、今の彼があるのだと思う。
その重みが彼の顔に刻まれている。
彼の歌はどこかで聞いた事のある様な名曲ばかりなのだが、
今回字幕で歌詞を見ながら演奏が聞けただけでも、その才能が
よくわかる。言葉が胸に突き刺さる。
でも歌詞ももちろん良いが、インタビュー中にもシャレた事を時々
サラっと言ったり出来るあたりがカッコ良いですね。
その中で覚えているのが二つ。

「恋なんて気がふれてなきゃ出来ないさ」
「ブーイング?大した事じゃない。
 時には優しすぎる事は良くない時だってあるだろ?」


帰り道、ちょっと遠回りをしてTSUTAYAボブ・ディランのベスト盤を
借りてきてしまったのは言うまでもないです。
余談だが、これは日本ではNHKが製作協力している様で、多分、
ハイビジョン上映だったと思う。
画質的には何の問題もないのだが、なんだかパンチサインとかないと
何か映画観ている気がしない僕って古い人間?
ま、新しくないのは当然なんだけど・・・・