31.『ウィークエンド・ブルース』 DVD

IMAO2006-04-20

運命じゃない人』が話題の内田けんじのPFF入選作品。
なんだかタイミングが悪くて『運命じゃない人』は
未見なのだが、この作品を観ただけで、
この内田けんじの才能を応援したくなった。
内田はこの作品でスカラーシップを取り、
続く『運命じゃない人』を撮る事になる。


三脚が当然使われる様な場所で使われていなかったり、
少しはまともな照明たけよ!とツッコミたくなる様なショットが連続するが、
そんな些細な事を吹っ飛ばす位に脚本が巧みで、
今時こんなに構成力のある人が
映画界に入ってきたというだけでも素晴らしい事件だ。
最近、構成力のある人は皆漫画に行ってしまっている様な気がするので。


インタビュー、コメンタリー等を聞くと、当時監督自身が
「ノイローゼになりながら」(監督談)も書いた脚本を、
中学の時からの友人達を集めて週末毎に撮って完成させた
正に「自主映画の鏡」と呼べる様な作品なのだ。
何よりも脚本が素晴らしいのだが、そうした「熱さ」と「楽しさ」
がこの映画の魅力になっている。不思議な事にそういうモノって
作品に映り込むモノなのだ。
そういう訳で出演者全員がほとんど素人なのだが、一人巧い
奴がいるなー、と思ったら監督でした。
やはり監督が一番作品のトーン&マナーを判っている。
なにしろこの映画の登場人物達を描いた内田けんじの
バイタリティーがこちらに伝わってくるのが嬉しい。
主人公の男の最後に身をよじりながら言う台詞、
『がんばりましょ〜よ〜』に、こちらも励まされる。
そしてあの疾走する顔はやはり素晴らしい。


ちょっとキリンジを連想させる、メインテーマがいつまでも
心の中でリフレインされている。
サントラ出ないかなー。