(再)『シングル・ガール』 DVD

IMAO2006-06-18

基本的にフェチな映画が好きで、
この映画もまさしくそういう映画です。
最初に観たのは10年前の横浜フランス映画祭
その時舞台挨拶した主演のヴィルジニー・ルドワイヨン
の初々しさをそのまま凍結した様な映画だ。
久しぶりにどうしても観たくなってアマゾンにて購入。


ルドワイヨンの目線、髪の毛を束ねる手つき、
肩からズレ落ちる制服の上着、片手でプッシュフォンを打つ手・・・
そういった彼女の「仕草」だけで映画が構成されていると
言っても過言ではないと思うが、何よりも彼女の「歩く」
スピードで撮られた映画なのだ。


この映画のコンセプトに「リアルタイム」というのがある。
まあ最近でいえば「24」とかが流行りだが、
ヒッチコックの「ロープ」を始め、割とある手ではある。
そういう意味では新しさがある訳ではないのだが、
この映画が目指したのは、多分主演のヴィルジニー・ルドワイヨンの
「いま=現在」を凍結する事ではなかったのか?
そういう意味では大成功で、ルドワイヨンのこの時期でしか
ありえない「少女性」とでも言うべきフェロモンが
フィルムに定着されている。
なんかこう書くと単なる変態の様ですが、映画はそのギリギリの
ラインが面白い所です。そしてこういうフェティッシュな視線の映画
というのが実は映画史の一部を支えていたりもする。
例えばトリュフォーにしろ、佐々木昭一郎にせよ、
そしてヒッチコックにせよ、絶対にそういうモノがある。
でもただのフェチでは本当にただの変態になってしまうので、
彼等は映画という正当性の中で自らを解放出来たのだ。
そしてこの『シングル・ガール』のブノワ・ジャコー
同じ様な人間なのだろう。


聞けばマリグリット・デュラスが映画を撮った時に
助監督をやっていたそうで・・・・・
うーむ、それもスゴいキャリアだ。普通成りたくたって
成れないですよ、デュラスの助監なんて!?
スタッフも一流で、ゴダールのカメラマン、
というかカメラウーマン(?)のキャロリーヌ・シャンプティエが
撮影監督。(非常に美人!?)
非常にスタイリッシュで難しいカメラワークをこなしている。
歩くスピードのリズムに合わせたカメラワークが、映画全体
のリズムを作ってゆきます。


で、余談ですが、このDVDはイマジカから出ているのですが、
ビスタサイズの外側、要するに4:3の画面の黒のマスク部分に
字幕が載っているんですね。これだとワイドテレビで拡大表示
した時に字幕が隠れてしまいます!頼みますよ、映像業界最大手
のポスプロ、イマジカさん!!!!