15.『バッド・ルーテナント』 バウスシアター

IMAO2010-03-08

ニコラス・ケイジのせいなのか?ヘルツォークのせいなのか?この作品には強烈な体臭がある。
かと言って特別にエグいシーンがあるとか、技術的に面白いとか、ストーリーが格別面白いとか、そういう訳でもない。主人公は矛盾に満ちているし、脚本上いらないシーンもたくさんあるし、倫理的に許せない所だってたくさんある。でも正にそこにこそこの映画の「匂い」がある。脚本にはなかったシーンをわざわざヘルツォーク自らがカメラを持って撮影しているのには多分訳がある。そこには技術論だけでは語れない何かがあって、ヘルツォークがやりたかった部分は多分そこにしかないのかもしれない。そしてそれが濃厚な匂いとなって残る。こういう映画を観せられると、ある意味本当に参る・・本物の才能の匂いには。