71.『四月の雪』 T-JOY大泉

ぺ・ヨンジュンが主役の話題の韓国映画
だが、僕としてはホ・ジノの映画として観てみたい・・みたいのだが・・
うーん、コレは見事に日本の主婦層に向けてのマーケティング映画だ。
別にマーケティングに裏打ちされた映画が悪いと言っているのではない。
日本で大人気のペ・ヨンジュンを主役に据え、
八月のクリスマス』や『春の日は過ぎ行く』の恋愛映画の巨匠
ホ・ジノで映画を作る・・・・商魂逞しい見事な企画だと思う。
こういうサービス精神は学ぶべきだ。
それで良質な映画が出来るならそれはそれで結構である。
実際、それこそ昔の日本の成瀬映画なんてそういう類のモノだったと思うし
今ヒットしている『NANA』とかもそうだ。
だが、コレは正直出来が今ひとつな気がするんだよなー。


いや、面白くない部分がない訳でなない。ホ・ジノらしい部分もある。
特にラストの付け方、タイトルにある様に「四月の雪」が降る下りは
ホ・ジノお得意のパターンだと思う。
昔の思い出が2人をまた再会させる・・・・みたいなパターン。


話はまあ昼ドラみたいな話だ。
二組の夫婦がいて一方の夫と、もう一方の女房が不倫関係にある。
この不倫カップルが自動車事故を起こしてしまい。
2人とも意識不明になる。そこへお互いの旦那と女房が現れて、
2人はお互いの夫と妻が不倫関係にあった事を知る。
仕方ないので、2人とも自分たちの夫と女房を看病しながら
意識が戻るのを待つのだが、お互いに惹かれ合ってゆき、
恋愛関係に陥ってしまう。要するにダブル不倫になるわけだ。


なんだかこうしてプロットとして書き出してみると
最近成瀬映画を続けて観ているせいもあって成瀬映画
との共通点もある。「自動車事故」「不倫」・・・・


だが決定的にこの話にノレないのは、
2人が「関係」するまでの過程が、
今ひとつ盛り上がりに欠けるというか、
その過程の描き方がイマイチなのだ。
多分それはかなり意識的にやっている部分もあるかもしれない。
実際『春の日は過ぎ行く』でも主人公達が恋愛関係に陥る過程は
非常にシンプルだ。だが、この映画の場合、お互いが憎み合って
さえいる相手に恋心を抱く様になる、というプロットなだけに、
もうちょっと細かい感情曲線の描き方があっても良いのでは?
と思ってしまう。
そうした「過程」の部分が描き切れていないのでは?
という欲求不満は多分僕だけが感じた訳ではないだろう。