4.『三年身籠る』 5.『るにん』

IMAO2006-01-29

すいません、最初出だし5分くらい観逃してます・・・
女優として塚本晋也の作品等で個性を発揮していた
唯野未歩子の長編デビュー作。
もともと多摩美とかで映像の勉強をしていて
監督指向の人だった様だ。
最近では、NHKのあの中学生日記等にも脚本を書いていたらしい。
またまた余談だが吉祥寺でよくお見かけしました。


しかし面白いとは思うのだがイマイチ、テーマが判り辛かったです。
ある夫婦がいて妻が妊娠している。
しかしなかなか子供が生まれてこない。
その間、旦那が軽く浮気したり、妻の妹とその恋人が色々と絡んでくる。
妻はその間、いもしない(?)父親に
妊娠の進行を知らせる手紙を書く・・・
うーん・・・そのドタバタ感とかオフビートな笑いは判るのだし、
退屈はしないのだが、もうちょっと深い所に触れて欲しかった様な。
というか語っているのかもしれないが、俺が判っていないだけ??
女の視点から見ると男ってこういう風に見えているんだろうなー、
って感じはすごく可笑しかったです。
ちなみにこの映画にも『東京ゾンビ』に続いて奥田恵梨華が出ている。
その不思議ちゃんぶりがなかなかです。
この人は今後色々出てくると思う。

別に狙った訳ではないのだが、
役者が監督した日本映画を連続して観る事に。
奥田瑛二の監督第二作目である。
日本だけでも北野武勝新太郎SABU、最近では津川雅彦・・・
海外に話を広げれば、それこそイーストウッド、キャサベテス、
ショーン・ペンシドニー・ポラック・・・
と、ちょっと考えただけでも役者出身の監督というのはたくさんいる。
やはり「出演」と「演出」というのは分ちが無い所なのだ。


映画全体の印象からすると、「根性」を感じる映画だった。
なんだか非常にベタな言い方で申し訳ないが、
映画撮るのって並大抵な気持ちでは出来なくって、
だから映画撮ってるだけでも尊敬に値する事なのだが、
それもわざわざ八丈島にまでスタッフ、キャスト全員連れてって
「時代劇」撮るって、これは相当な荒技だと言って良いと思う。
スタッフが豪華。美術が木村威夫、音楽三枝成彰、衣装鳥居ユキ、
と蒼々たる面子だ。
八丈島の自然の色と、衣装の色等は非常に良く出ていて、
フィルム作品ならでは醍醐味が感じられたし、
キャスト的にも面白かった。
主役に松坂慶子、その相手役にバレーダンサーの西島千博
そして島田雅彦などもちょい役で出ていたりする。
(この人結構芝居が出来ますね)


なかなか力のある作品なのは判るのだが、
個人的には、脚本にもう少し工夫が欲しかった気がする。
群像劇なので、ある程度しょうがないのかもしれないが、
結局はこれは男と女の話に落ち着けた方が良かった様な気がする。
色々な人物の話が小出しにされて、その伏線が主役二人にうまく
還元されていない様な気がした。


ただ、やはり役者が演出した映画って観てしまうんですね。
元々言葉でしかなかった脚本を身体という道具でアクション
として定着させる作業をしている人たちだからこそ、人間の
行動(アクション)に興味があるのだろうし、演出に興味を
持つのだと思う。人間の行動は非常に多面的だし、そこでの
切磋琢磨こそが映画とか芝居の醍醐味なのだから。
ま、そういう事に興味のある役者でなければ、映画なんて
撮らないとは思うけど。