21.『クラッシュ』 シャンテ・シネ

IMAO2006-03-15

アカデミー賞を取ったばかりという事もあって、
そこそこの入りでした。
ただ、前評判も良かったし、久しぶりに
マット・ディロンも出ているし、という事で
期待の一本だった割にはノレなかった。
多分、この映画を予告編を観て鑑賞券を買ったそのまま
の気持ちで観ていたら、また違った感想を抱くのだろうが、
この手の脚本で、この手の映画って結構ないですか?
って気になってしまった。


作劇の難しさは重々承知の上で書くのだが、あまりにも
登場人物達がチェスの駒になってしまっている様な気がした。
テーマを表す為に物語があり、キャラクターが存在する、と
いうのは基本中の基本なのだが、それにしても、というキャラ
もいて、なんかその分作為が見えすぎてしまったのかもしれない。
その登場人物達が本当に今「生きている」感じがしなくて、
ただ単にそこに巧い役者がいるだけ、って感じがしてしまう。


音楽とかも過剰だと感じたし、画作りでハッとさせられる様な
部分もない。いや、シンプルな画で良いというのではなくて、
多分そこにあまり興味がないのだろう。
要するにアメリカの良く出来たテレビドラマ程度の画って感じで、
やはり脚本家の演出の限界をちょっと感じた。
どうしても構成と台詞だけで作ってしまう感じがするのだ。
ま、もちろんそんじょそこらの映画よりは面白いのは確か
なのですが・・・・

でも今、アメリカがお互いの「痛み」を分ち合わねばならない
状況にある、という事を感じ始めているのは確かなのかも、
と思って観ていた。