84.『豚と軍艦』 新文芸坐

IMAO2006-08-05

同時上映の『赤い殺意』をスクリーンで観たくて
この『豚と軍艦』も見たのだが、
本当に、本当に素晴らしかった。


いつの時代にも青年と少女の物語は語られる。
この映画は今村版『理由なき反抗』であり、『灰とダイヤモンド』だ、
と恥ずかしい位ありきたりな事しか言えないのだが、
その中に登場する人物達の心情描写の巧みさに、
心がえぐられる様な思いがした。
映画を観ていてそんな思いに捕われたのは本当に久しぶりだ。
でも、この映画は暗く重たい映画ではないし、
主演の長門裕之の身振りの様に軽妙で、したたかだ。
要するに一級のエンタテイメントでありつつ、アメリカ批判を
臭わせつつ、「にっぽん」を主張する今村を感じるのだ。


新文芸坐はほぼ満員だったが、平均年齢の高い事!
ここはフィルムセンターか?という感じだったが、
どうして旧い映画を観せる場所って限定されてしまうのか?
いや、文芸坐には学生時代からお世話になってますから感謝
はしてますよ。してるんですが・・・・
代理店とか配給会社とか、世界的な才能が死んだんだから
世界からゲストとか呼んで、イベントと会わせてレトロスペクティブ
やるべきでしょう?
カンヌで今村昌平が現れると、まるで「モーゼの十戒
みたいに人の波が割れた!?っていう位の知名度がある人が
日本では国葬にならない、ってどういう事じゃ!?


■雑記

最近、ここに書くべき映画が少なくて困ってる。
新作もそこそこ頑張って観に行くのだけれど、評判程
良いと思えなかったりするものが多すぎる。
しかもその作品の監督が直接の知り合いだったりすると
もう何も言えないです。これは本当に寂しいです。