124.『トゥルー・クライム』DVD

IMAO2006-11-19

もう最近イーストウッド漬けです^^
実はこの前の日にNHKで『バード』も観てます。
マディソン郡の橋』も観直してます。
本当はこの『マディソン郡の橋』はイーストウッド作品の
中でも特に好きなので、いずれコレについても書きますが、
この『トゥルー・クライム』スゴいですねー。
この映画は劇場公開を観逃していてずーっと観たいなー、
と思っていたら今イーストウッドの新作公開を記念して
ワーナーから33タイトルを全て1500円で売っています。
で、ついつい・・・・


この映画、テーマは死刑制度です。
キエシロフスキーとかも『殺人に関する短いフィルム
とかで死刑の話とか出てきますが、もうこれはタイトル
からして暗いですね。いや『殺人に〜』も好きな映画
ではあるんですが、いかんせん万人向けではありません。
観た後どよ〜んと暗くなります。それにどうしても肩肘
張っちゃうじゃないですか、死刑のお話とか。
作る方にしても、観る方にしても。


ところがイーストウッドにかかると、同じ死刑の話でも
すっかりエンターテインメントです。全然説教臭くならない。
ポップコーン、バリバリ食いながら、アハハと笑いながら
「バカだねー」とか言いながら観ても、後から思い起こすと
「ちょっと深い所もあったなー」なんて思うかもしれません。
「生と死」「恋愛と家族」「アクションと抽象」そういった
モノが全てごった煮状態で共存してます。
さっきまで不倫してたかと思うと、次は死刑囚にインタビュー、
そうかと思うと子供と動物園に行ったりと、もうこれだけ
書いていてもどんな映画か判らないですよね^^


でもそういう「ごった煮状態」こそがこの映画の魅力です。
でも決して「闇鍋」にならない所がサスガです。
ちょっと大げさな事を言うと世界の多様性みたいなモノを
サラッと描かれた様な気がして悔しいです。
世界にはスゴく悲惨な事も起こっているかと思うと、同時
に幸せな事も起こっている。人はある人から見れば善人に
見えても他の人から見れば悪人にも見える事もある。
そんな多様性と多面性について、本当にかるーく描けるのは
やはり76才にして9才の子供がいるイーストウッド、大人の余裕ですか??
(映画の中にもこの実の娘が出ております)


メルキアデス・エストラーダ3度の埋葬』を観た時にも思った
のですが、歳とってくると色々な事、嬉しい事苦しい事全て
同じ様に語れる様になるのかもしれないな、と思いました。
余談ですが、ラストシーンでまだブレイク前(?)の
ルーシー・リューが出ています。
それも含めて何か得した気分になれます。