1.『ヴァンダの部屋』 WOWOW録画

IMAO2007-01-01

全フレームがフィックス。まずその大胆さに惹き付けられる。
誰かが話している。でもその話している本人さえもフレームに映っていない場合さえある。ある意味映像の文法からは外れているが、それだけに「開かれたフレーム」を感じる。
カメラの前にいる人々はその場に生活している実在の人々らしいが、彼等にとってカメラはもう生活の一部になっていて、その存在さえ忘れているのかもしれない。彼等はカメラの前で異常なナチュラルさを見せるのだが、それにしては妙にフレームが決まり過ぎてもいる。そのアンバランスさが通常のドキュメンタリーともフィクションとも違う異様な魅力を発している。
ペドロ・コスタはこの映画を撮るためにフォンタイーニャス地区に住み込んで撮影したそうだが、この映画で何を言いたかったのか?とかそういった主張を声高にはしない。彼は見つめ、提示する。その態度に映画の力への信頼を感じた。