(再)『泥だらけの純情』 NHK-BS2

IMAO2007-04-26

「好きなんです!あなたが好きなんです」
こんなミもフタもない台詞ってなかなかないです。でもこの映画の中での吉永小百合にはこの台詞が言えます。人を射抜く様な瞳を持っていた吉永小百合(今は遠くを見ている様な瞳になってしまいましたが)を、中平康は本当に巧く使ったと思います。作品の知名度から言ったら『月曜日のユカ』とかの方が有名ですが、この『泥だらけの純情』を観ると中平康が如何に役者に合わせて、演出の手法を変えていたのかが判ります。まあこんなに愚直とまで言える「深窓のお嬢様」(死語)の役を加賀まりこにやらせる訳にはいかないし、逆もまた不可だったでしょう。何はともあれこの後の吉永小百合の方向性を決定付けた作品だと思います。
この映画は昭和版「ロミオとジュリエット」で、この当時でさえ現実感のない話ではあると思うのですが、それでも若い時の一途な恋愛観はよく表現されていると思う。歳とると、こんなにまっすぐに人を好きになれないですからね。前にユーロスペース中平康のレトロスペクティブをやった時、観客は出だしは失笑しながらこの映画を観ていましたが、最後にはすすり泣きが聞こえてくる、というとんでもない状況になっていたのを思い出しました。
今回のNHK放映ではニュープリからおこした、ハイビジョンテレシネなのはありがたかったのですが、その反面「伏せ字」台詞が多くってねー。「俺のオヤジは○○で、オフクロは○○だ!」って、これじゃ意味が判らんです^^少しは容赦して頂けないですか・・Wプロデュサー!?

※追記:今度5月にチャンネルNECOでもやるみたいですね。台詞もちゃんと聞きたい方はそちらで。