38.『フランドル』 ユーロスペース

IMAO2007-05-07

詰まらなくはない、と思うんだけど・・・なんかイマイチ来るモノがなかった。空気感とかは正に「現代の映画」だとは思うし、予告編にそういうものが映っていたからこそ観に行ったのだけれども、徹底的したドライな演出に、何もそこまで、と感じてしまったのかもしれない。
でもこの脚本にはあからさまにフィクションの「構造」が見え隠れする。男がいて、女がいる。男は戦地へと赴き、人を犯し人を殺す。一方で女はその男の子供ではない子供を宿し、精神を病む。そういった「死」と「誕生」が同時期に世界の両局面で起こっている。戦地にも日常があり、一見平和な日常の中にも狂気が存在している。それを同時に描こうとしているのは明らかだし、世界の多様性、多面性についての映画だという事は理屈では判る。でも何かが足りない様な気がするのだ。それが何かは判らないのだけれど・・・
僕は映画を観る時、言葉=脚本を越えた何かを期待している。それがこの映画になかったのか?と言われると判らない、としか今の所は答えようがない。でもこの監督ブリュノ・デュモンの他の作品も観たくなったのは確か。