51.『転校生 さよならあなた』 T-JOY大泉

IMAO2007-06-23

大林宣彦が好きだ!とか言うとバカにした様な顔つきになる人いますね。それは大人になってもオムライス好きだ、とか大声で言えない雰囲気とちょっと似ている。ケチャップよりはドゥミグラスソースの方が高級だとでも思っている人も多いのですな。でも僕はケチャップもドゥミグラスソースも両方好きで・・・って、例えがよー判らんですか?
それはまあともかく、ちょっと思い出しただけでも『時をかける少女』('83)、『北京的水瓜』('89)、『青春デンデケデケデケ 』('92)、『女ざかり』('94)、最近の作品では『理由』('04)という恐るべき怪作もあったし、当然この映画のオリジナルである『転校生』(’82)も好きです。で、そのセルフリメイクである本作も、出だしは「ああ、相変わらずでんな」「オイオイ、水平線狂ってるよ」「今度は流行の難病モノ?」「しかもヤオイ入ってる?」とか思って観てたんだけど、やっぱり最後の方にはしんみりさせられちゃうから不思議。
大林宣彦は良い意味でも悪い意味でも変態で、どんな女の子でも可愛く撮ってしまう。今回の蓮佛美沙子も身体が入れ替わってから(つまり男の子になってから)俄然可愛く見えてきて、最後の方はもう愛おしくてしょうがなくなってくる。どんな娘でも恋人目線で撮れるこの変態性こそが大林マジックだけれど、そこにピアノが加わるともう完璧!ヒロインの蓮佛美沙子がピアノが弾くシーンは、数ある大林映画のピアノシーンでも最高の出来かもしれない。
と、一応褒めておくけれども、それをプラマイゼロにしてしまう位、青臭くて気恥ずかしいシーンも沢山あります!それは大林映画には常について回る「踏み絵」の様なモノで、だからこそ大林映画は非常にマニアックな珍味であり続けるのだろう。でも良い歳して青臭くあり続けるのも結構ファイトいるんだよね。何しろ69歳のおっさんがこの映画撮ってる訳ですから。