14.『行け!ラペビー』 銀座テアトルシネマ

IMAO2008-02-04

動物、動物たち』を観に行って併映だったので、何の予備知識もなく観たのだが、何と自転車選手のドキュメンタリーだったので嬉しくなってしまった。第31回ツール・ド・フランス個人総合優勝のロジェ・ラペビーの晩年についての短編。日本公開が88年だそうだから、作られたのはもっと前だろう。何しろ選手が乗っている自転車はスチールフレームだし(今は競技用自転車のほとんどがカーボンフレーム)、シフトレバーがフレームに付いていたりする。(今はブレーキレバーの所に付いています)
でもこのラペビーが走っていた時代はもっともっと前で、ツール・ド・フランスは昨年の大会で第97回目なので、かなり初期の大会を走っていた人だ。あのファウスト・コッピよりも前の時代の選手という事になる。ツールは今でも世界で最も過酷なレースと言われているが、当時は距離も現在よりも長く、しかも開催期間が短かったそうだから、その過激ぶりが伺えます。
最後の方で自転車を延々と漕ぐラペビーの表情に本人のインタビューの声が被さる。「ポルシェに乗っていた事もあったけど、今は全て失った。自転車と家族があれば良い。」なぜ「全てを失った」のか?そんな野暮な事は説明しない。海辺に佇むラペビーの背中が全てが語っている。