41.『フィクサー』 みゆき座

IMAO2008-04-21

冒頭の方で製薬会社の専属弁護士であるティルダ・スウィントンが、鏡に向って話しているシーンがある。彼女は会社の運命を握る説明会のプレゼンテーションに向けて、レジュメを暗記している。彼女の脇の下には汗が滲んでいて、その体臭さえ臭ってきそうだ。こういう演出はなかなか心憎い。日本の役者でこういう芝居やってくれそうな人もいないしね。「アナタは脇の下に汗をかいていて、シャツが絞れそうな程に濡れているんですよ」なんて事を日本の女優で引き受けてくれる人がいるでしょうか?大体、所属事務所からストップがかかりそうだ。
まあそれはともかく、映画における人間描写というのは「行動」でしか表現出来ない。当たり前の事の様だが、実際表現しようとすると意外と難しい事だったりします。特に脚本家出身の監督にとっては尚更でしょう。そういう意味で、初監督作品でありながら余裕さえ感じてしまう演出力、なかなか見せます。
どうでも良いけど、トム・ウィルキンソンが錯乱して裸になるシーンがあるのですが、あれはやはりアノ映画へのオマージュですよね?そういう細かい所も含めて面白いです。