86.『俺たちに明日はないッス』 ユーロスペース

IMAO2008-11-26

主人公の青年は「オレはオナニーなら一日に13回出来るだぜ」と自慢します。それを聞いた女友達は「あんたってホントに救いようのないバカだね」とため息まじりに語りますが、その距離感は多分そのまんま男と女の距離感です。男の性欲と女の食欲はどちらも若い時ほど底なし沼で、その行き場のない感じがやるせなくて、切なくて、ちょっぴり可笑しかったりします。
タナダユキ作品はコレを含めて三作観た事になりますが、僕は面白いと思いますよ。語りたい事と技術論がうまく合致しているし、無理がない。今回は多分16ミリだし、手持ち撮影が多様されているけれども、それがうまく作品に貢献されていると思う。ファーストシーンで女の子が海に向って歩きだす姿はちょっと映画を感じたなー。そしてラストの「その時になって初めて『明日』という事を考え始めた」という主人公のモノローグは、銀杏BOYZの歌うエンディングと併せて今も響いています。