2.『ずっとあなたを愛してる』 バウスシアター

IMAO2010-01-25

日本では作家として知られているフィリップ・クローデルの初監督作品・・という情報を聞いて観に行きました。とはいえ、確実な演出力が冴え渡っています。主人公の顔から始まるファーストショットがまず「映画」でした。あの表情、あの仕草・・久しぶりにちょっとゾクゾクしました。語るべき事を言葉ではなく仕草と表情とで見せる方法は、間違いなく映画の手法です。
聞けばフィリップ・クローデル、大学時代からシネフィルで、短編映画も何本も撮っていたそう。その後作家として認められ、次第に脚本などから映画に参加しています。だからどちらが先とか本業という区別は彼の中にはないのかもしれません。が・・やはり才能ある人は何をやらせても巧い。「世の中には歌える人と歌えない人がいる」という『市民ケーン』の台詞を思い出してしまいます・・
なかなか良い映画です。「なかなか」という微妙な言い方をしたのもラストが気に食わないからなのですが、アメリカでゴールデングローブ賞を取ったりしているのは、多分このラストがあったからでは?と思います。全体押さえた演出なのですが、そこだけちょっと判りやすくて少し興覚めしました。