67.『シルビアのいる街で』 イメージフォーラム

IMAO2010-09-01

僕が趣味で写真をやるから、という訳でもないでしょうが、映画をたくさん観ているとストーリーはどうでも良くなって「顔」に感動する事があります。人間の表情の中にはたくさんの自然があって、そこに感動するというか・・この映画は多分そういう映画の見方が好きな人にとっての映画だと思います。
話は別に大した話じゃない。ある男がいて女を探し続けている。でもその女も本当にいるかどうかさえ怪しい。男は街のカフェで、様々な女達を観察している。ある者は笑っている。ある者はノートにメモを取っている。ある者は男と喧嘩をしてる。彼女達が声高に台詞を喋ったりする訳でもないのに、その表情と仕草から彼女達の人生が垣間見えてくる。それはまるで、ある種の写真家が撮ったストリートスナップの様だ。彼女達が何も語らないだけに、観る者の想像力が喚起されるポートレートにも見えてくるという意味で・・
主人公の男は結局カフェで見つけたある女の跡を尾けて行くのだが・・こういう話は結構映画の定番だったりもします。ヒッチコックの『めまい』に始まり、最近話題のクリストファー・ノーランのデビュー作『フォロウィング』もこの手の話だったし、手前味噌ながら僕が20年近く前に撮った自主映画もそういう話だった。いや、なぜそういう話になったかというと、映画観終わった後にその時のスタッフで、今はスチールカメラマンやっている友人と偶然会ったからです。何はともあれ2人とも映画観続けます。それが普通に出来てる事が、何よりって感じです。