13.『キック・アス』 早稲田松竹

IMAO2011-04-25

映画を観る時に何となく考えてしまうのは、「なぜこの映画がこの時期に撮られたのか?」という事だ。多分そこに深い意味はない。偶然と衝動とタイミングだけの問題なんだけど思うけれど、それでも優れた才能というのは、意識せずとも時代と呼応してしまうものなのかもしれない。それは例えば、イーストウッド津波のシーンがある映画を撮ってしまったばっかりにその作品は上映自粛になってしまったり、ガンの治療の為に放射線治療を受けている荒木経惟が『東京ホーシャセン』というタイトルの写真集を出してしまったり・・期せずして才能というモノは時代を嗅ぎ分ける訳だ。
という事を、つらつらと考えながら観るべき映画なのか?と言われるとそんな事はなくて、これは単なる娯楽映画だとも言えるのだけれども、やっぱり震災後だし、原発問題もあるし、政治は揺らいでいるし、でやっぱりここに来て「ヒーロー」ですか?とも思ってしまう。このヒーローは特殊能力もないし、お金もないし、体力だってない。でもそれでもやるべき事はやろうよ、という気にさせてしまうだけでもこの映画の力は素晴らしい。こういう映画がたまに出るから、やっぱりアメリカ映画はまだまだ底力あるよね。あとニコラス・ケイジはやっぱり一度ヒーロー物に出しておいて良かったと思いました。