17.『トゥルー・グリット』 バウスシアター

IMAO2011-05-30

この物語の主人公でもあり、語り部でもある少女は復讐を遂げた瞬間に穴に落ちる。暴力を暴力で制した者は罰せられなければならない、そんなあまりにも判りやすい展開だが、不思議と白ける事はない。この少女の持つ好奇心が、僕たちの心を捉えて離さないからだ。彼女は木のツタに脚を絡ませながらも、すぐ近くに横たわっている死体を発見する。彼女はそこで普通の少女なら絶対にあり得ない行動に出る。わざわざ死体を自分の方にたぐり寄せ、その胸元を開いてみる。そこから出てきたのは毒蛇の群れだ。毒蛇に手を噛まれ、彼女はやっと自分の無力さに気付くのだ。今まで復讐の為に気張ってきた思いも、強く見せかけ様としていた態度も崩れ、全てを老保安官に身をまかせて、2人を乗せた馬は夜の荒野をひた走る。その姿に素直に心打れた。
出演した役者は脇役も含めて、皆素晴らしい。マット・デイモンバリー・ペッパーもエンドタイトルが出てくるまで本人とは判らなかった。でも何よりもこの主人公である少女を演じたヘイリー・スタインフェルド!この娘なくしてこの映画はあり得ない。奇跡の女優となれるかもしれない逸材。