67.『シルビアのいる街で』 イメージフォーラム

僕が趣味で写真をやるから、という訳でもないでしょうが、映画をたくさん観ているとストーリーはどうでも良くなって「顔」に感動する事があります。人間の表情の中にはたくさんの自然があって、そこに感動するというか・・この映画は多分そういう映画の見方…

61.『インセプション』 吉祥寺東亜興行

映画は記憶に似ている。更に言うなら映画は夢にも似ている。そして夢は記憶から成り立っている。だから映画と夢は当然の様に相性が良い。夢落ちの映画は古今東西たくさんあるし、映画を観ていて現実との境目を見失いそうになるのは誰しも経験のある事だ。そ…

49.『8月の終わり、9月の初め』 日仏学院

ジャンヌ・バリバール特集の中の一本。1998年度の作品だから、もう12年程前のオリヴィエ・アセイヤスの映画だが、フランス映画的というかフランス映画でしかあり得ないアプローチは今もって新鮮・・ちなみに日本語のタイトルの『〜初め』は日仏学院のページ…

佐々木昭一郎というジャンル

今度ユーロスペースでやるようです。ここ数年になって佐々木昭一郎の人気に火がついたのは、やはりネットによる口コミ効果が大きい様な気がするなー。 僕も機会がある毎に何回か書いて来ましたが、 id:IMAO:20051211 id:IMAO:20051223 昔、リアルタイムに観…

44.『ローラーガールズ・ダイアリー』 TOHOシネマズ シャンテ

ブログの巡回ルートに入っているichinicsさん超オススメだし、何しろあのドリュー・バリモアの初監督作品だ・・これを観に行かない訳にはいかない! インタビューでドリュー・バリモアは次の様に答えている。「私が人生で経験してきたことが生かせる時がきた…

43.『アウトレイジ』 バウスシアター

北野武の映画はあまり生理的に好きじゃない。でも「嫌い」は「好き」の裏返しで、非常に魅力を感じているのも事実。『キッズ・リターン』とかは文句なしに良い映画だと思うし。 今回の映画、とにかく感覚的に「痛い」!これはなかなか出せるもんじゃない。そ…

42.『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』 新宿ピカデリー

大森立嗣の作品はよく考えてみれば『ゲルマニウムの夜』を観た事があった。今回の映画は典型的なロードムービーで、青春の行き場のない気持ちを旅に昇華させたストーリーだ。こういう話は大抵は決まっている。 だから、この映画を詰まらないか?と言うとそん…

39.『武士道シックスティーン』 テアトル新宿

古厩智之の作品は実はほとんど観ています。地味だけどハマると良い演出する人だなー、とつくづく思いました。今回は特に脚本が上手。丹念に青春期の心のひだをなぞっています。 成海璃子は今まで観た中では一番良かったんだけど、今回初めて見た北乃きいちゃ…

34.『パーマネント野ばら』 新宿ピカデリー

この映画の中盤で、菅野美穂演ずる主人公が恋人役の江口洋介とのデートの後、トンネルで別れるシーンがある。彼女はしばらくして振り返り、江口の後ろ姿を確認する。その時彼女はきっと様々な事を考える・・この人と次に会うのはいつだろうか?また元気で会…

32.『ボックス』 新宿ピカデリー

無茶苦茶王道な青春映画で、気に食わない所もたくさんある。でもそういうところも許せるくらいアツい映画。 市原隼人は決して好きじゃなかったし、暑苦しい演技は相変わらずだけど、それがこの映画には良く合っている。競演の高良健吾もイイ!谷村美月も今ま…

31.『息もできない』 ライズX

昔の上司が超オススメだった映画なので、観に行く。確かにパワフルでストレート。荒削りだけども、伝えたい事がしっかりとある映画。こういう映画はやはり年に一本か二本しかない。

29.『マイレージ、マイライフ』 バウスシアター

僕はこの映画好きですよ。 「リストラ」「ネット社会」「人間関係」・・と重くなりがちなテーマの筈なのに、語り口は軽妙洒脱。この良い意味での「軽み」は監督のジェイソン・ライトマンの優れた持ち味だろう。でも、ジョージ・クルーニーの力に依る所も大き…

(再)『野性の少年』 DVD

この前ちょっと調べたい事があって出だしだけ観たら、どうしても観直したくなり朝の4時からの鑑賞。いやー・・正直参った。こんな地味な話だし、久しぶりだし、DVDだし・・寝る事覚悟で観始めたのだが、ワンシーンワンシーン丁寧に作られている事といったら…

(再)『雨に唄えば』 TOHOシネマズ府中

デビー・レイノルズの最初のダンスシーンはperfumeの10倍くらい可愛くて、ジーン・ケリーのウィンドミルはスマップの100倍くらいダイナミックだった。これを映画館で観なくてどうする?!3D映画もDVDもぶっ飛ぶ面白さと感動は映画館ならでは。やっぱり映画は…

24.『ウディ・アレンの夢と重罪』 恵比寿ガーデンシネマ

ここ数年の映画では、やたらと人が死ぬシーンが出てくるウディ・アレンの映画。でもアレンの描く殺人シーンには死体は出てこない。猟銃で撃たれたり、車が木にぶつかったり、拳銃で撃たれたりして死んだと思われる人たちも、フレームの外や、目に見えない場…

15.『バッド・ルーテナント』 バウスシアター

ニコラス・ケイジのせいなのか?ヘルツォークのせいなのか?この作品には強烈な体臭がある。 かと言って特別にエグいシーンがあるとか、技術的に面白いとか、ストーリーが格別面白いとか、そういう訳でもない。主人公は矛盾に満ちているし、脚本上いらないシ…

13.『丹下左膳余話 百萬両の壺』 NHK-BS録画

現存する山中貞雄作品の三本の中の一本。いやー、昔の演出はやっぱり勉強になるね。キャラクターに反故がないというか・・この人物ならこういう風に動くだろう、というのを見事に外さない。その職人的な技には余裕と創意が満ちている。

12.『ゴールデンスランバー』 吉祥寺東亜興行

話は面白いんだろう。原作の力もあるかもしれない。でもなんだか登場人物の行動とか発言とかが、うまく繋がっていない。例えばこの主人公が良く口にする「人を信じる」という言葉も彼の何がそうさせているのか、映画だけからは判らない。もちろん人間は矛盾…

10.『インビクタスー負けざる者たちー』 吉祥寺東亜興行

シンプル&パワフル!シンプルすぎて文句言う人もいるかもしれないのも判る。でも本当に旨い酒というのはスッと飲めて翌日見事に後に残らない。酒(映画)の幸福感だけが翌日残る。そういうのを「透明な演出」というのでは!?いや、僕は酒飲めないですけど…

7.『イエローキッド』 ユーロスペース

若くなければ撮れない映画。もしくは若いからこそ撮るべき映画だが・・役者の力量が足りないのが一番辛い。それはすなわち演出不足という事でもある。なにしろこの出演陣の中で一番光っていたのは「でんでん」。でも良い所もたくさんあるし、その力の入り方…

5.『ラブリーボーン』 バウスシアター

良く出来ているんだけど、なんか大人の事情があるのか、狂っていない感じが不完全燃焼・・・多分子供が殺される話だし、色々と自主規制がかかってしまったのか?もちろん素晴らしい部分もたくさんあるんだけど・・なんだろう?誰に感情移入して良いのかも判…

4.『(500)日のサマー』  シネクイント

この映画館来るのってホントに久しぶりだ。ひょっとしたら『ジョゼと虎と魚たち』とか以来?やはり若い人向けの映画が多いからかなー? ホント若い人向けって感じがした。歳のせいかもしれないけど、恋愛が嫌いな訳ではないし、むしろ好きな方だとは思うんだ…

2.『ずっとあなたを愛してる』 バウスシアター

日本では作家として知られているフィリップ・クローデルの初監督作品・・という情報を聞いて観に行きました。とはいえ、確実な演出力が冴え渡っています。主人公の顔から始まるファーストショットがまず「映画」でした。あの表情、あの仕草・・久しぶりにち…

2009年の映画

結局今年は46本しか新作映画を観れてなくて、全然更新もしていなくて、いっそこのブログを止めてしまおうかとも考えたのだが、こうして見ると意外と面白い映画も多かった様な気もするのですな。という事で毎年「もう一回観てみたい」という基準で自分流ベス…

40.『アバンチュールはパリで』 シネカノン有楽町

仕事で10日間ばかり韓国に行っていたから、という訳ではないでしょうが、韓国映画が続いています。ホン・サンスの新作ですね。この人の作品はこれを含めて確か二本目ですが、気の抜けたコーラみたいな感触です。旨いと感じるか、不味いと感じるかは観た人次…

38.『母なる証明』 バルト9

これはもう出だしから「映画」でした。素人がやったら絶対にハズす・・という感じの難易度が高いショットからこの作品はスタートします。 色々と思い出すと、ジワーっと心に絡み付く様なシーンがたくさんある。それはこの映画の中で何度も出てくる水のイメー…

35.『空気人形』 バルト9

この作品が完璧な作品だとは思わない。いらないエピソードもある様な気もするし、それは多分そこが巧く映画に馴染んでいないからかもしれない。でも、ペ・ドゥナという女優を観ていると、それだけで「事故」なのだ、という気がしてくる。この女優が演じるダ…

33.『夏時間の庭』 バウスシアター

コレは面白い、というか久しぶりにヨーロッパの「大人の映画」。こういうのは絶対に日本では撮られない。良くも悪くも、もっと湿った話になってしまうのが日本映画だと思うし、大体こんなに地味な話では企画が通らない。もっと起承転結を脚本の段階で作って…

20.『愛を読むひと』 吉祥寺東亜興行

観るつもりはなかったのに、映画の日だし・・と思って観て大正解。この映画は「本を朗読する」という単純な行為を縦軸に、性愛、贖罪、歴史、と骨太なテーマを表現してゆく。原作も面白いと評判だが、監督が『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリ…

18.レスラー  シネマライズ

プロレスはよく「やらせ」だと言われる。その辺りの事情も包み隠さずこの映画では語られている。段取りがあって、ドラマティックな展開が最初から用意されている。だからプロレスが本当の意味でスポーツか?と言われると非常に微妙なのだが、その辺りの事情…